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境港がいなマグロのひとりごと

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遠洋水産研究所客員研究員
三宅 眞 様 

クロマグロの資源保存

太平洋クロマグロは不思議な生物だ。石垣島近海、近年は日本海の大海原にも一尾当たり数千万単位の浮遊卵を産み放す。その一部が孵化し、海流に漂いながら日本各地の沿岸にたどり着いてそこで1−2年を過ごす。その後は南北東西に広く分布回遊し、一部は太平洋を横切って、アメリカ・メキシコ沖に達し、2−3年過ごした後、また日本近海まで戻って来て、産卵に加わる。数千万の卵の中から一対が一回産卵すれば、資源は維持される理屈だが、この発生初期の環境によって、生き残る尾数は大きく影響され、資源の変動は非常に大きい。たまに環境の良い年があると、資源は爆発的に増えて、その後数年は豊漁となるが、勿論その逆も起こりうる。

古くから日本ではこのクロマグロを広く利用してきた。現在でも沿岸。沖合で多くの異なった漁法で、魚の生活史の異なった部分を漁獲している。それこそ0歳から40歳までのマグロが獲られている。勿論太平洋を横切った魚は、北米沖で漁獲される。日本海では韓国にも漁獲され、南西諸島海域では台湾も漁獲に参加している。そのため近年は資源(特に小型魚)に対する国際的な漁獲圧力が大きすぎて、過剰漁獲になっていることが、国際的な科学者会議で認められており、漁業の厳しい規制が行われている。

漁獲はとかく重量で議論されるが、尾数で考えると小型魚が圧倒的である。マグロの成長は早くて、死亡率を遥かに上回るので、6−7歳で100キロ前後の魚を獲るのが、一番得になる。しかし、歴史のある多くの小・中型魚漁業のみを規制するのは難しい。厳しい規制は、国際的にも国内的にも、各漁業の犠牲が公平でないと受け入れられない。しかし隣の庭がより緑であるように、とかく自分だけが損していると思う。その感情を抑えて、皆で規制を守ってこそ、資源が維持できるのだが。


水産大学校名誉教授
原 一郎 様
  水産資源は、利用すれば一時的には減るが、再生産で増える自律更新資源である。不確実で非定常である水産資源を持続的に利用する行為と食文化は、適正な管理下では尊重されなくてはならない。過剰な規制は漁業の衰退をもたらす。多様な漁業を存続させつつ、獲りながら資源の持続的利用を目指すべきである。

 広域に回遊するクロマグロは広い地域・海域で多様な漁法で多くの漁業者に利用されている。したがって特定の漁業ではなく、バランスの良い規制により、クロマグロの安定供給を目指す、これが真の資源管理であろう。

 現在、漁獲上限が定められ、大中型まき網漁業とその他の沿岸漁業等に半々に配分されている。沖合と沿岸へのバランスの良い規制といえる。漁業従事者の減少対策のひとつとして、漁業生産の効率化がある。「まき網は高い漁獲圧をかけ続けている」とよく言われるが、資源への漁獲の影響はどれだけ間引いたかであるはずで、漁獲圧やどのように獲るかではない。効率化は不可欠である。

 回遊資源において先獲り・後獲りの漁業調整の問題がある。先獲りを悪とするのではなく、対立のない共存を目指すべきである。対立ではなく、共存のための歩み寄りである。このための第一歩は相互理解である。これまでは自己主張のみが目立っていたが、各地域・各漁業の自主性を尊重した合意形成が今こそ求められる。

 まもなく漁獲可能量(TAC)による公的管理の試行が始められようとしている。資源の将来予測に関する不確実性が高いことから資源の動向を考慮しながらの漁獲上限の期中見直しが重要で、資源管理手法の一つであるフィードバック管理との併用が期待される。

 今のところ漁獲上限を超過したブロックまたは漁業においては、翌年の漁獲上限から、超過分が差し引かれることになっている。資源のフル活用という観点からブロック間、漁業間または両者間において超過していない余剰分の相互利用の導入は不可欠である。


東京海洋大学 海洋科学部 海洋政策文化学科 准教授
濱田武士 様 
海洋の魚の資源量の多くは、漁獲対象になっていても、なっていなくても周期的に変動することは知られています。昨今、太平洋クロマグロの産卵親魚(成魚)が減っているということで騒がれていますが、この資源も周期性があり、過去2回変動の成魚資源量の谷がありました。1975年頃と1985年頃です。再びこの水準に近づいているということでWCPFCという国際機関の協議を通して2015年から未成魚の大幅な漁獲量制限が行われることになりました。これと並行して旋網業界では自主的に成魚の漁獲量制限を2011年から行っています。

かつて資源量が谷間に達したとき、こうした漁獲量制限はなく、その上、クロマグロを漁獲する漁船や定置網の数も現在と比べればかなり多かったです。しかも、旋網船団は40〜50船団もあり、現在の倍近くありました。それでもその後、資源は獲りつくされることはなく、回復しました。

当時と比較すると現在の漁獲圧力は大きく落ち込んでいます。このことと過去の資源回復の経験を踏まえると、このままでも資源は回復に向かうと思うのですが、資源回復は早期に実現させるに限ります。だから、漁獲量制限をするのでしょうが、あとは漁業経営との折り合いからどのくらい我慢するか、できるかが大事だと言えます。

全国の漁業経営を長年調査研究してきた専門的立場として、今ひとつ気になることがあります。昨今流布されている「魚を根こそぎ獲る」という表現です。
ハイテク技術が導入されているとはいえ、操業や技術にはいろんな規制がかかっていて、また漁場選択では漁労長の勘、漁場での魚群探査ではソナーも使われますが船員の目視力にも頼っているのです。また群れを見つけて網を打てば魚を必ず捕獲できるとは限らないです。魚群を見つけることできず全く獲れないときもあれば見つけても捕獲に失敗することもあるのです。そのような日が連続することもあります。投資額、運転費が大きい分、そのことが会社倒産の要因になることもあります。群れを見つけることすら難しいのに「魚を根こそぎ獲る」というのは旋網漁業を知らない人の誇張表現だと思います。

一方で旋網漁業と沿岸漁業者との間には調整課題が沢山あるのもたしかです。漁場紛争と漁業調整は漁業についてまわるものです。しかし、マスコミ、ラディカルな環境NGOなどに煽られてしまい、この漁業調整が妨害されているように見えます。資源管理とディープエコロジーは相容れないと私は考えていますが、このことも含めて太平洋クロマグロの今後について冷静に注視していきたいと思います。




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